大阪ヘイト条例への回答書
小坪しんや氏のサイトから
https://samurai20.jp/2020/11/hate-11/


大阪市ヘイトスピーチ審査会
会長  坂元 茂樹  殿
回答書



冠省
 平成30年3月20日付の貴会からのメール(以下「問合せメール」という。)に対し、当サイトは、以下のとおり回答を述べます。

  記

第1 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(以下「ヘイト条例」という。)および案件番号平28?6(以下「本案件」という。)に関する大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「貴会」という。)の運用には、憲法、法令およびそれらの解釈上ならびに事実上の重大な欠陥があり、違憲無効かつ違法となる虞があること

1 当サイトから貴会への求釈明

(1)対象の明示および疎明(特定)について
 当サイトは、貴会に対し、本案件に関する貴会の調査審議の対象(以下「本件調査対象」という。)の具体的な内容を当サイトへ明示すること、およびその証拠の写しをメール添付で当サイトへ交付する方法によって疎明することを求めます。
 その理由は、問合せメール本文にあるサイトリンク「http://    」(以下「本件ページ」という。)に当サイトがアクセスしたところ、現在はその記載内容を確認できない状態だからです。
 本件調査対象が、本件ページの記載のうち如何なる部分なのか、貴会から具体的に明示および疎明をして頂かないと、当サイトとしては、何に対する意見および反論を述べるきか、および当サイトに有利となる如何なる証拠を提出するべきか、判断しえません。

(2)ヘイト条例が遡及法(事後法)および不利益処分の遡及適用の禁止に反する虞について
 憲法、法令およびそれらの解釈上、遡及法(事後法)または遡及適用による不利益処分が禁止されていることは、法理上当然であり、法治国家の常識です。
 この点、問合せメールには、『条例全面施行日である平成28年7月1日 以降も掲載を継続した行為が、同条例所定の「ヘイトスピーチ」に 該当するかどうか等について、大阪市長から諮問を受け、調査審議を行っています』とあります。
 これは、ヘイト条例の施行日よりも「前に」存在していたと推測される本件ページの内容に対し、遡及法(事後法)により遡及適用を行って、当サイトの運営者に不利益処分が下される虞があることを示唆しています。
 ヘイト条例または本件調査審議は、遡及法または遡及適用の虞がないのか、貴会の見解を求めます。
 なお、貴会が、遡及法または遡及適用でないことを明らかにするためにも、上記(1)で述べた本件調査対象に関し、当サイトへの明示および疎明は必須であることを申し添えます。

(3)ヘイト条例が私的自治の原則を侵害する虞について
 私的自治の原則は、複数の定義および解釈があるものの端的にいうと、何人(なんぴと)であれ、自身がなした行為以外の第三者の行為ついては責任を負わないというものです。
 憲法、法令およびそれらの解釈上、私的自治の原則に対する侵害が禁止されていることは、法理上当然であり、自由主義社会の常識です。
 この点、上記(1)で述べた本件調査対象に関する貴会の明示および疎明の内容によっては、当サイトと無関係な第三者の行為に基づき、当サイト運営者の氏名・住所を公表すること(以下「氏名等公表」という。)で責任を負わせることになり、それは私的自治の原則を侵害する虞があります。
 ヘイト条例または本件調査審議は、私的自治の原則を侵害する虞がないのか、貴会の見解を求めます。

(4)ヘイト条例が過剰な制裁力および広汎性によって言論の自由に対する重大な脅威となっていることについて
 ヘイト条例は、所謂ヘイト行為をなしたと大阪市が判断した者に関し、氏名等公表というプライバシー侵害または業務妨害等の違法行為となりうる不利益処分を下せる「過剰な制裁力」があるのにも関わらず、大阪市民でない者が大阪市外でなした表現行為に対しても氏名等公表を行いうるという「過剰な広汎性」を有し、言論の自由に対する重大な脅威となっており、司法の場において、違憲無効かつ違法と判断される虞があります。
 ヘイト条例または本件調査審議は、違憲無効または違法との司法判断を受ける虞がないのか、貴会の見解を求めます。

(5)ヘイト条例の氏名公表等が被公開者(対象者)に対する違法または不当な私的制裁を惹起する虞について
 所謂ヘイトスピーチを糾弾すると主張する個人および団体(以下「カウンター」という。)は、当サイト運営者の自宅とされる場所に乗り込む等の行為をしております。
 これは、憲法およびその解釈上も禁止されていることが明らかな「私的制裁」で、私的リンチまたは逆ヘイトと評価しうるものです。
 ヘイト条例および貴会の判断に基づく氏名公表等により、当サイトの運営者または関係者が、カウンターからの付きまとい等の違法または不当な私的制裁を受け、生命身体または平穏に生活する権利利益を侵害されたり、カウンターによる私的リンチや逆ヘイトの対象となったりすることは容易に予見されます。
 この点、当サイトへの人的・物的損害が実際に生じた場合に、大阪市の行政責任はどうなるのか、また、大阪市は被公表者へ如何なる救済措置を行うのか(行っているのか)、貴会の見解を求めます。

(6)ヘイト条例には、氏名公表等の被公開者(対象者)への救済制度がなく不公平かつ、他自治体における動きと比較しても均衡を欠くにも拘らず、選挙を通じた是正が困難であること
 私的制裁に関し、東京都においては、ストーカー規制法では対処できなかった上記(5)のような恋愛感情「以外」による付きまといも罰則対象とする条例を制定する動きがあるものの、大阪市にも大阪府にも、東京都のような動きはありません。
 また、ヘイト条例には、上記(3)のような過剰な広汎性があるにも拘らず、大阪市で選挙権・被選挙権がない大阪市民以外の被公開者(対象者)には、選挙を通じたヘイト条例の改廃といった是正の方法がありません。
 他の自治体との関係を含め、ヘイト条例が原因の被害が生じた際の救済制度および是正に関する貴会の見解を求めます。

(7)司法判断に悪影響を与える虞があること
 当サイトは、カウンター側の者との訴訟(以下「別訴」という。)が係属中です。
 本件調査審議が如何なる申立を端緒としているか、当サイトとしては推察するしかありませんが、仮に、カウンター側からの申立を端緒としている場合は、別訴の司法判断に悪影響を与える虞があります。
 司法との関係を含め、ヘイト条例が別訴に悪影響を与える虞について、貴会の見解を求めます。



第2 ヘイト条例および貴会の運用に対する当サイトの懸念について

 1 ヘイト条例の根本的な問題点
 ヘイト条例は、調査される側(当サイト)が、調査する側(貴会)に対し、氏名・住所を明らかにしなければ、有利な証拠を提示する機会を与えないという構造です。
 すなわち、ヘイト条例は、当サイトを含め、運営者の氏名等を公表していない者について調査する場合、調査される側が氏名等公表の不利益処分を避けるため、無回答になることを織り込み済みといえ、事実上の欠席裁判によってヘイト行為と認定する虞がある極めて不適切なものといえます。

2 当方の別対応
 当方は、本案件について地方議員に相談しており、それを経由して国会議員および大阪の市議らにも連絡しました。

3 当サイトの役割および言論の自由との関係
 当サイトは、ネット上の所謂「情報系サイト」であり、それが、如何なるイデオロギーに基づいていようと、憲法で保証される言論の自由を等しく享受できるものです。
 また、情報系サイトは、今やリアル(現実世界)との差が極めて薄くなったネット空間において、情報を求める有権者の知る権利および政治的表現の自由の充足に貢献しています。
 この現状に対し、ヘイト条例の調査審議や氏名等公表によって萎縮効果を生じさせ、結果的に情報発信を妨げまたは情報遮断を助長することは時代に逆行していると断じざるを得ません。
 貴会および大阪市におかれましては、憲法、法令およびその通説解釈との整合性や三権分立を脅かす虞に関し、地方公共団体としての大阪市の行政権の在り方を含め、再検討いただくことを強く求めます。   



第3 当方から貴会への要望および通告

1 貴会からの問合せメールによると、それに対する当サイトの回答期限が 平成30年3月27日(火)とされております。

そこで、当回答書にて前述した貴会に対する求釈明への貴会からの御返答は、平成30年3月26日(月)中に、当方へ発信して頂けますようお願い致します。
それが困難な場合、当サイトから貴会へ再回答する機会を確保するため、回答期限の延長を要望します。 

2 貴会からの御返答が○○日中に発信されなかった場合、当回答の内容を当サイトで公開し、貴会から頂いた問合せメールについても公開する旨を貴会へ通告いたします。

 これに問題があると御主張される場合は、○○日中にその旨とその理由を当サイトにメールで御通告ください。御通告を頂けない場合は、公開を容認して頂いたものと看做します。

3 貴会からの御返答を頂くまでは、当サイトについて問合せメールに記載された通知次項のうち、以下の事項のみを通知いたします。

(1)名称 ○○○○

(3)連絡先  ○○○○
posted by はなまる at 19:31 | 日記